ドリル練習の難しさ =乗り越えるべき3つの壁=
ドリル練習の有効性
前回の記事で泳ぎを変えるためには、余計な動きに意識を集中させずに、目的を限定化した方が良いと書きました。
水泳にはドリルと言われる一部の動きだけを反復練習する方法があります。
例えば、有名なのはビート板を使った”バタ足”。これはクロールのキックの練習ドリルです。
それ以外にも、片手スイム、きをつけキック、キャッチアップなど、膨大な種類のドリルがあります。
じゃあ、
泳ぎを変えるにはドリル練習が有効か?
というとこれが一概にはそう言えないんじゃないかなぁ、というのが個人的な感想です。
なぜか?
まずは、自分なりにドリルの目的と活用法を再確認してみます。
ドリルは泳ぎの中のある動作に絞り込んで、それを繰り返し行う練習です。
<利点-1>
その動作だけに集中できる
<利点-2>
それを繰り返し行うことで無意識的に体に覚え込ませることができる
そして、目的の動作を習得したら、それを実際の泳ぎの中で行って、泳ぎを上達させてゆく というのがドリルの有効な活用法だと思います。
こう聞くと、ドリルいいじゃないか、と自分でも思うのですが、実は難点もあるのです。
ドリル練習の難しさ
<難点-1>ドリルの目的を正しく認識する必要がある
どのドリルも対象となる動作の感覚をつかむという目的があるはずです。その狙いがはっきりしないままドリルを行ってもいい効果は望めないと思います。
<難点-2>効果的なフォームで行う必要がある
効果的なフォームでドリルを行い、対象となる動作の感覚を実感しなくては意味がありません。極論を言えば、へたくそなままバタ足をどれだけ繰り返しても泳ぎがきれいになることはありません。
つまり泳ぎをきれいにするためには、まずきれいなドリルができるようになる必要があるということです。
<難点-3>感覚を思い出して泳ぎに組み込む必要がある
仮にドリルがきれいにできるようになったとして、最後にそのドリルで覚えた動きの感覚を思い出して泳ぎに組み込まなくてはなりません。
例えば、バタ足のドリルをしていても、手にかかる力・体のバランス・頭の高さ・呼吸のタイミング・・・etc. キック以外の感覚も当然ある訳です。それらの目的以外の感覚を一旦忘れて、キックの感覚だけを思い出し、今度は全く異なる環境=泳ぎながらそれを思い出して、再現するということが求められます。
少なくともこれらの壁を乗り越えなくてはドリルの効果が泳ぎの中で発揮されることはないのではないでしょうか?
以上のようなことを考えると、泳ぎを変えてゆく時にドリルって本当に有効かな?と思えてくる訳です。
じゃあどうするのさ?ということで、自分がとった方法は、
リラックスして泳ぎながら、
実際の泳ぎの中で調整してゆく
という方法です。
一部の動作だけを取り出すのではなく、全体の泳ぎの感覚のなかで、調整をしながら少しずつ泳ぎを変えてゆく、という方法です。
これまでの記事で言ってきたことは、この「リラックスして泳ぎながら、実際の泳ぎの中で変えてゆく」為に必要なことなのです。
当然個人差があるので、この方法が絶対に正しいなんて思いませんが、自分にとっては非常に効果的だったと思います。